| 設 問
金ぴかの舞台中央。
魔術師登場。
手には銀色に輝く
サーベル。
「呪文は忘れちまったが、
なにかまうことはないさ、
『世界』から
『世界』を剥ぎとってやれ。
『世界』から
金ぴかの壁紙がはがれる。
金ぴかの壁紙の裏の
さみしい鉄骨と
陰気な裏路地が見える。
魔術師退場。
ライオン登場。
金色の毛並みだけが
『世界』に残された色彩だった。
「ガオー、
いかさま魔術師め、
『世界』はおまえが夢みる
幻そのものだ。
猟師登場。
鉄砲を担いでいる。
「ズドン、
ライオンはいちころだ。
ライオン、
猟師に担がれて退場。
道化登場。
とんぼをきる。
「永遠に日暮れたままの
海岸から
不思議な鳥が飛んできた。
鳥の言うことには
『世界』に明日はないそうじゃ。
道化、とんぼをきりながら退場。
不思議な鳥が飛んできた。
青い翼をばたつかせ
おぼつかなげに飛んできた。
魔術師再登場。
ライオン再登場。
猟師再登場。
道化再登場。
全員、無言のまま、
不思議な鳥を見つめる。
不思議な鳥、
おぼつかなげに飛び去る。
鳥、予言をし忘れる。
魔術師、ライオン、猟師、道化、
所在なく
ぼんやりたたずむ。
裏路地に
夕暮れ時が
おとずれた。
(1991.11.18.00:59)C128
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